機械好きな女性が 資格を生かせる職業
[可能性を秘めた仕事]
正直なところ、大学病院で看護師を勤める姉に教えられるまでは、私自身も「臨床工学技士」「CE(Clinical
Engineer)」という職業をよくは知りませんでした。進路を決めるに当たり、まず第一の条件であったのが、資格をとれること。それに子供のときから機械に触れるのが好きだったので、できれば機械いじりのできる仕事ならいいいな、と漠然と考えていました。
「臨床工学技士」が医療の現場で患者さんや機械に携わることができ、国家資格のある職業ということは決定的でした。当時、まだ数も少なく、極端に女性が多い職業でもないというのも、私には魅力的でしたが…。
専門学校に入り最も苦労したのは、私が商業高校の出身ということもあり、化学と数学。数学は数Iまでしか履修していないし、化学もやっていませんでした。でも、実習では山羊の心臓を止めて人工心肺を稼動させるなど実践的なことも経験し、もちろん勉強の面だけではなく非常に充実した学生生活を送りました。
そして卒業後、透析の現場を知り患者さんと接することで、学生時代に学んだことがひとつずつ今につながっています。
患者さんと一緒に 治療し、勉強し、歩いていく
[指導者ではなくアドバイザー]
患者さんは週3回透析に通い、その間は技士を含め各スタッフが安全に治療を行うように努めますが、その他の時間は患者さん自らが日常を管理しなくてはいけません。
たとえば、看護師は日常生活について、栄養士は食事を専門的な知識に基づいてきめ細かく指導する役割です。私たち技士は機械が故障すれば修理や調節をしますが、一方で、機械に関してだけではなく広く臨床の知識も兼ね備え、患者さんと一緒になって、より快適に生活する方法(クォリティオブライフの向上)を日常のレベルで考え、わかりやすくアドバイスする立場でもあります。
ときには患者さんの愚痴の聞き役になることもあります。医師や看護師に質問しにくいことを聞いたりもします。それだけ患者さんと近い位置で透析治療を考えることができるのが、私たち臨床工学技士ではないでしょうか。
目先のカッコよさではない プロの仕事を目指す
[常に疑問を持つ姿勢]
透析治療は診療所の技士の一人一人が頑張って、血液浄化の技術を確立してきました。その技士の一人として、私はプロフェッショナルの仕事をしていると考えています。続々と新しい技術や機械が出てきているなか、臨床工学技士としてプロフェッショナルは常に自分が進歩していかなければならないという意識を持っています。なぜ社会に出てまで勉強しなければいけないのか、ではなくプロなのだから勉強して当たり前なのです。
透析治療においては、多くの合併症が考えられているため、100%マニュアル通りではありません。透析は積み重ねられた症例も多く、データもあります。マニュアル通りにいかないときに、「なぜだろう」とちょっとした疑問を持つことで、日常のなかで勉強ができます。
その結果、技術や知識だけでなく患者さんとの信頼関係も深まり、さらに仕事がおもしろくなるのです。